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  • 2010.06.17 Thursday
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ずの攻防戦・

***

「続 き は ま だ か 」



といった声が、前回のうp後に続発。
というわけで、他にうpろうと想っていたのをいったん休止して、凄まじい勢いで書いた。

今回の見所としては、

りんこ、ヴェル初登場!


というところでしょうか。
ちなみに中の人はこういう「主人公を助ける、何か凄い能力持ってる協力者」っていう感じのキャラが大好きです。だってそういう人がいないと話進みませんしwww

そんなわけで、リアルりんこはともかく、こっちのりんこはかなり感情がこもっております。頑張って書きました。

ここを見てくれる奇特な物好き連中の暇つぶしになれば幸いです。
***

サンドリアの童歌に詠われ、バストゥークの吟遊詩人に奏でられる、古い歌。
「林檎酒の魔女」。

ーいっしょにおどるじゅんびはできたかな
 まずうでをあげて、ほら、見ててごらん
 泣かないで、ぼくもあなたも一人じゃない
 いっしょにおどろうよ、りんごのまじょもさみしいよ
 
ーてをたたいて、私のするとおりにすればいい
 ひだりにそら、いっぽにほ、ひらいてとんで
 なみだをふいて、みんなでおどろう
 おうちじゃひとりぼっち、でもりんごのまじょがいてくれる


***


首府、バストゥークからチョコボで2日ほどの距離にある、コンシュタットの荒野。
ザルクヘイム地方の南部一帯を占めるこの広大な穀倉地帯のはずれに、半ば朽ち果て、近隣の村々の古老たちからすらも忘れかけられている屋敷がある。

今、その屋敷の前に。

緋色の亜麻の生地に、黄金の縁取りで描かれたチョコボの軍旗を掲げた騎士隊が轡を並べていた。

「どうみてもこりゃ廃墟だな・・・」

黒いデストリア種のチョコボに跨がり、漆黒の鎖帷子をまとったヒゲ面の男、ハーディンが呟いた。

「魔女とお友達ってぇのは前から知ってはいたが、よもやそれが林檎酒の魔女だったとはおぃちゃん思わなかったよ。まったく、うちの団長ときたら常に俺たちの予想の右斜め上をいくな。」

二人のエルヴァーン女性の従騎士を傍に控えさせ、ハーディンの隣にチョコボの轡を並べさせたヴェルが応える。ハーディンはちらりとヴェルを見ただけで、言葉を続けることはなかった。


話は3日前に遡る。


ある晴れた日の昼下がりのことだった。

チョコボの飼料であるトコペッコやアズーフの野菜を栽培している、デュヴァリエの荘園に小さな来訪者が現れた。
傭兵騎士団、スカーレットフェザーを率いる団長、ヴァレリア・デュヴァリエが忽然と姿を消して数ヶ月。
そんな最中の事である。

はぐれ子としては上等な生地の服を纏ったそのミスラの子はキキロと名乗った。

彼女を保護した従騎士を押しのけ、主無き傭兵団を切り盛りしていた松風女中長は涙を流しながらその少女を抱きすくめて大声で泣き出した。それにはスカーレットフェザーの、いやデュヴァリエ家に仕える全ての者たちは驚く以外の感情を抱くことはできなかった。何故なら、それは誰もみたことのない、気丈な女丈夫の涙だったからである。

ひとしきり泣きはらした後で、松風は少女の手をとり、屋敷へと招きいれた。そして事態を飲み込めぬ使用人たちに、彼女の居住まいを整えるように命じた。
それからほどなくして、松風はハーディンやヴェルなど、普段は屋敷周辺にはいない者達を呼び寄せ始めたのである。

デュヴァリエ家の家宝ともいえる燃えるように赤く輝くピジョンブラッドの首飾りを身に着けたそのミスラの子は、ベラムの手紙を携えていた。
その手紙の送り主が、数ヶ月前から行方をくらましているヴァレリア・B・デュヴァリエだったのだから、スカーレットフェザーは二度驚くことになる。
慈しむような瞳でキキロの肩をつかんでいた松風が封をきり、凛とした声で手紙を読み上げ始めた。

その手紙の内容を要約すると、

【スカーレットフェザーの全戦力をかき集め、来る満月の日、コンシュタットの魔女を訪ねよ。】

とのことだった。達筆というには程遠いものの、それでも十分に綺麗な字体で書かれた手紙には、ヴァレリアのサインがきちんと記されており、それがヴァレリア本人のものであるのは疑いようがなかった。

とはいえ内容があまりにも突飛すぎ、何のことか理解しきってないヴェル、ハーディンを尻目に、松風女中長はすぐさま緊急用のリンクシェルを使い伝令を走らせた。
彼女の行動はこの日が来るのを知っていたかのようだった。

ほどなく、事態を把握したフリューベル家から動員された神殿騎士隊数十名が馳せ参じ、非番任務についていたデュヴァリエ家直属の郎党騎士隊が屋敷に集まった。しかもその騎士たちは宮仕えでありながら普段からデュヴァリエの軍事調練に頻繁に顔を出す精兵達であり、彼らの登場が事態がただならぬ状況であることを如実に物語っていた。さらに数は少ないながらも戦忍着を身に纏った忍者達も気配を消して控えていた。文字通り、総力をあげた援軍だった。

よくみれば、デュヴァリエ邸で飼育されているサクヤの魔獣たちも混ざっていた。それをみたヴェルがお供のエルヴァーン女性騎士たちとあわてて獣たちをデュヴァリエ家の猟場に戻すと、キキロの肩を抱いた松風女中長が部隊編成を終えたヴェルに何事かを囁く。

「全軍、前進!」

松風から何事かを頼まれたのち、ヴェルは竜剣リディルを掲げ、全軍に出発を命じる。
ヴェルの号令を合図に、スカーレットフェザーの旗を掲げる騎士団がデュヴァリエ邸を発った。
目指す先は、キキロから手渡された手紙の示す、忘れ去られたコンシュタットの辺境の地である。


***

月がもっとも高くなり、満天の星が空を彩りはじめる頃。
三日前の朝方に屋敷を出発したスカーレットフェザーはなんともわかりにくいキャリオンワームののたくったような地図に示された廃墟の前に到着した。
目的の場所に到着し、全部隊に出された待機命令に、ハーディンは強行軍の疲れからでるあくびを必死にかみ殺していた。

「やれやれ、こりゃくたびれ儲けの骨折り損なンかね」

嘆息したように呟くと戦斧を担ぎなおし、直属の部下である重装騎兵たちの方へ振り返った。彼の部下たちも彼と同じように疲れた顔をしている。

「おい、ハーディン。あれ・・・」

もう一度おそってきたあくびの誘惑に負けそうになっていた彼に、ヴェルが廃屋のほうを指差してみせる。
ヴェルの指差す先に視線を移すと、廃墟の一室にほのかな明かりがともっていた。
その灯りは弱弱しくも暖かい光を灯しながら、ゆっくりと廃墟の門へと近づいていく。
そしてその光が門と重なったとき、今にも崩れ落ちそうな木製のドアが音もなく開いた。

「こんばんは、緋色の騎士団の騎士さまたち。ワタシの庭へようこそ。」

魔女は、にっこりと微笑んで、そう言った。


***

魔女というからには醜悪な老婆を想像していたスカーレットフェザーの騎士たちは驚きを隠せなかった。なにしろ、彼女は魔女というには若すぎ、魔法使いというに優しい瞳を持っていたからだ。
それでも窓の中から覗き見る彼女の廃墟には膨大なグリモワールが積み上げられており、不可解な魔方陣がそこかしこに描かれている。それがなければ、彼女が魔女であることを信じられなかっただろう。
住まいの廃墟を抜けると、よく手入れされた林檎畑が広がっていた。

しかも驚くことに、そこで夜中だというのにせっせと畑の世話をしている者たちがいた。
闇に蠢く不死なる者たち、フォモル。
そんな魔の者たちが手に鍬をもち、足には脚絆を巻いて、真夜中の農作業に従事していたのである。身構えるヴェルとハーディンに向かって、フォモルたちは軽く会釈をして手を振ってきた。

「彼らはずっと昔にこのあたりで人食い鬼ってよばれてたんですよ。ふふっ」

今は邪気を全て祓ってワタシの畑の使用人になってもらってますけどね、といって魔女は笑った。

二王時代から生きているこの魔女にとって、荒野に跋扈する魔物たちですら可愛いわが子のようなものだという。昼間はグゥーブーたちが畑の世話をするらしい。
コンシュタット高原の荒野の辺境にあるのにかかわらず、魔女の庭園は緑であふれ、清らかな小川の水が星の光を映してキラキラと輝いていた。

やがてスカーレットフェザーの兵士たちは小高い丘の上に案内された。
魔女はたおやかな微笑みを浮かべて、団員一人ひとりに林檎酒をふるまってくれた。
それはほのかに甘く、香りも抜群で、平たく言えば美酒であった。
ヴェルが親衛のエルヴァーン女性騎士にそれを口移しで飲ませてもらうことを要求し、平手でひっぱたかれている頃、ハーディンは体の異変に気づく。

「・・・美味いな。疲れが癒えていくようだ・・・と想ったら、本当に治ってやがる。何を飲ませたンだ?」

「ふふふっ、別になにも。それは本当にただの林檎酒ですよ。ただちょっとだけ、魔法のかかりをよくするように、ワタシが特別に作ったお酒ですけどね。」

彼女の飲ませた林檎酒はここまでの疲れを完全に癒していた。
それどころか密やかにだが血の滾るような、戦場に挑む前のような高揚感も同時に感じる。

魔女は古びた指揮棒を取り出すと、ちょいちょいっと振り回した。
するといずこからか、キラキラと黄金に輝く羽がひらりと騎士たちの手元に舞い降りた。

「それじゃあ、貴方たちがここに来させた理由をお教えしましょうか・・・」

丘を上りきった所まできて、魔女は妖しく微笑んだ。
後ろで縛った美しい黒い髪が夜風に舞う。
舞い降りた羽の意味を尋ねようと口を開きかけたハーディンはその様を素直に美しいと想った。


***

満天の星空の下。美しい庭園を見下ろす丘の上。
聞こえるものは美しい小川の水のせせらぎの音と兵士たちの息遣い。
見上げれば月が冷たいながらも明るい光を放っている。
魔女は丘の上の拓けた草地に立つと、大昔から聳え立つ大樹に眼を向けた。
木の傍らには苔の生えた石の柱が二つ、傾きながらたっている。
墓碑らしい。その傍には一本のアダマン製の剣が突きたてられていた。

「ジュビジー、ジルダリア、ヴァレリア・・・。貴方達のひだまりを取り返しに、今、貴方達の王国騎士隊がいくわ。」

魔女はそれに向かって悲しげに呟いた。
夜半の風が微かに木々の葉を揺らした。遠くで林檎の木々がさわさわとざわめく音がする。

魔女はじっと無言で何事か祈っていた。
スカーレットフェザーの兵士たちは息を殺してその様を見守る。

・・・静寂。

魔女はやがて体を起こすと、纏っていた高価そうな生地のローブをはらりと脱ぎ捨てた。
白い胸元が月明かりを浴びて朧に浮き上がる。
朔夜がヒューレンの眼を隠すが、しっかりと魔女は下に服を纏っていた。

魔女は小さな小瓶をとりだし、栓を抜いて中の液体を手に取った。半透明の液体が月光を反射し、ぎらつくように光る。
その液体にそっと口を寄せる。そして魔女は歌うように何事か唱えた。
言葉とともに己の息吹を吹き込もうとするように。

いつのまに、いずこからか取り出したのか。
不可解なルーン文字の施された長大な大鎌を魔女は手に握り締めた。刃先から柄のほうまで、少しずつ順に小瓶の液体を振り掛けていく。
夜気に触れた液体は冷たく、やがて鎌を持つ魔女の手にまで滴り落ちた。

だがそれはやがて熱を帯び、火照るように厚くなってくる。
大鎌に液体を満遍なく振り掛けると、魔女は再びローブを身に纏った。よく見ればそのローブにも複雑な文様と文字が描かれており、月の光とは別に青白く光を灯し始めていた。

魔女のか細い腕のどこにそれだけの腕力があったのか。魔女は軽がると大鎌をかかげると軽くひゅんひゅんと振り回してみせる。
それこそまるで舞うように。

魔女は顔をきっと上にあげ、天高くに輝く月と星たちを見つめる。
整った唇がそっと開き、乾いた荒野の大気を旨の奥深くへ静かに吸い込む。
そして片手をスカーレットフェザーの兵士達へと向け、高く澄んだ声を響かせた。

「その、黄金の羽を決して離さぬよう、騎士さまがた。では、参りますよ。」

魔女の声はそれほど大きいものではなかった。しかし彼女の声は不思議なことに兵士たちの一人ひとりにいたるまで、はっきりと、しかし吸い込まれるように脳裏に吸い込まれるように響いた。

そして・・・再び静寂が辺りを包む。
魔女はじっと空を見上げたまま、彫像のごとく微動だにしない。だが魔女の胸の鼓動だけが、なぜかスカーレットフェザーの兵士達にまで聞こえていた。
やがてそれは鼓動だけではなくなり、魔女の感じている感触、匂いまで感じることができるようになった。

冷たい荒野の夜風が頬をそっと撫でる。
液体が滴り落ちた、大鎌を握る手の平がちりちりと痛む。しかし体を奥底からこみ上げてくる熱さに、次第にその痛みすらかき消されていった。

・・・そろそろ・・・約束の時間だよ、りんこ・・・。

その時。
どこからか低い鐘のような声が聞こえた。
しかしそれは夜の空気を微塵も乱さず、だがスカーレットフェザーの面子にだけは割れんばかりに響いた。

その声と同時に、魔女は手にした大鎌を振り上げる。
突然、叩き付けるような暴風が轟と吹いた。

「戦場の風だな・・・」

ヴェルが獰猛な表情で微笑む。頷きかえすハーディンの顔も戦士のそれへと変わっていた。
魔女の薙ぎ、引き裂いた空間が怒涛のようにゆがみ、光の津波となってスカーレットフェザーに押し寄せる。
そして濁流にさらわれる浮き葉のようにスカーレットフェザーたちは光に飲まれていった。

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