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  • 2010.06.17 Thursday
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せめて冒険者らしく


***

 サーラメーヤ編もどういうわけか5話目になってしまいました・・・。
 
 多分、これで完結だと思います。
 
 Vareriaさんの妄想はどこに行き着くのか、未だにわかりません。
 
 これ書いてる時点ではメイジャンがダメイジャンとかいわれてたり、サーバー統合で色々とカオスなことになってたりと、ヴァナでは結構激動な時期なのですけども、中の人的にはどうでもいいです。初めから運営に期待してないのです。受け流しスキル青地は伊達じゃないのです。

 Vareriaさんはヴァナディールに確かに存在していて、冒険を続けることはできるのですし。

 目先のコンテンツに心を奪われても、それを楽しむ事を忘れたら、それはゲームじゃなくなっちゃうのですよ。
 
 それだけは忘れないようにしたいものですね。

 
***


 視界が白一色に染まる。仲間たちの運命をその背に背負い、ナイトがゲーツオブハデスの灼熱に飲みこまれていく。叩きつけてくる熱波と衝撃で呼吸が出来ない。それでも、盾をかざしてサーラメーヤに立ちふさがったヴァレリアは倒れなかった。自分の後ろには守るべき仲間がいる。自分を信じて運命を託している仲間がいる。その期待を思えば、倒れるわけにはいかなかった。

 猛烈な勢いで消費されていく酸素に意識が遠くなる。盾の取っ手を握る手にはもう感覚が無い。酸欠で頭がクラクラし始めた。

 凄い相手と出会えた事を喜ぶ、だったかな・・・。

 それは心が折れかけたヴァレリアを立ち直らせてくれたタルタルの言葉だった。希望が無い状態でも決して諦めない心。消えたように見える勝利への希望の光を、最後の最後まで信じる強さ。
ヴァレリアは再びくじけかけた心を奮い立たせるように呟いた。

 アトルガン皇国の街の中には多くの人々が暮らしている。ささやかな毎日を一生懸命に生きている。その日常を、サーラメーヤが蹂躙するかもしれない。丈夫な石造りの防壁や迎撃施設があるとはいえ、こんな巨大なモンスターにかかれば脚止めにしかならないだろう。あの炎の塊のような巨体が家々をなぎ払って突き進む姿が鮮明に想像できた。そしてそれは皇国軍がサーラメーヤを撃退するまでそれは続く。

 ヴァレリアの知っている人、まだ会った事の無い人、それぞれの生活が踏み躙られていくのだ。一瞬のうちに、これ以上ないほどに呆気なく。とても看過できるはずが無い。それがたとえ、王国国民でない、異国の国の人々であったとしても。そうさせないためには、ここで膝をつくわけにはいかないのだ。

「うぁああああああぁぁあ!」

 それが自分のあげた声なのかわからなかった。叩きつけてくる爆炎を弾き返すように、盾を振りかざす。体力はもう殆ど残っていなかったはずだ。それなのに、ヴァレリアはゲーツオブハデスの炎の波を潜り抜けてゆく。

 「ぃやあああああああああっっ!」

 エステルの声が聞こえた。

 目をこらす。

 かき分けられた炎の波を突き破り、エステルはサーラメーヤの腹の下に潜り込む様な至近距離に位置取って巴を突き上げていた。ジャンプからの自重をのせた一撃を主眼においた竜騎士にとって、突き上げるスタイルの型は非常に珍しい。下段からの突き、そこから円を描くように槍を回転させて腰だめに引き寄せて突き刺す。槍の石突で追撃を、と身構えたところで地面を蹴り、横っ飛びに飛んで距離を置く。サーラメーヤが反撃の様子を見せたからだ。

「いつまでヴァレリアをバーベキューにするつもり? いい加減にしないと怒りますよ。」

 巴の突先をサーラメーヤに突きつけてエステルが獰猛に言った。

 気がつけばヴァレリアの肩をジョニーが叩く。

「一番怖いのは、ぶちキレちゃってても冷静な奴だよねぇ。仲間が傷つけられて火事場の馬鹿力を出す奴は多いけれど、それでいて状況判断能力を失わないのは流石だわ。」

 そういってジョニーは微笑んだ。

「大丈夫? よく耐えたね。次は、もうやらせないから。」

 腰のホルスターからクイックシルバーを取り出し、くるくると回す。それも2丁だ。サーラメーヤに向けて派手にぶっ放した。撃ち出された魔弾がサーラメーヤの分厚い鱗を弾く。ジョニーの煌びやかな服装には、その苛烈なガンアクションがよく映えた。

 モーターワークスがヴァレリアの傍を通りかかり、刀を抜きながら軽く肘で小突く。

「え?」

 彼は何も言わず、地面を蹴ってサーラメーヤに向かってゆく。
 続くダイハードも、薄く微笑みながら背中を叩いて走っていった。
 バリズはヴァレリアの頭をおさえ、手荒く頭をガシガシと撫でて、しかしやはり言葉を発さずに魔法の詠唱を始める。

「な、なに?なんだったの?」

 呆然としていると、シムが「かっかっか」と笑い、ひと際強くヴァレリアの背中を叩いて笑顔を浮かべた。

「よくやったってことじゃろ。よっしゃあ、わしも負けてられないのぉ!」

 シムはそういうと朗々たるバリトンで勝利と栄光のマーチを歌い始めた。

 ゲーツオブハデスを一身に受け、自分達を守ってくれたナイトへの恩返しを。彼女が受けた痛みはわからない。だから、その礼は気持ちと行動で返す。そんな彼らの想いが伝わってきた。

「さ、ナイト様。ケアルのお時間ですよ?」

 気がつけば、ラッチとコトカがにっこり微笑みながらケアルの詠唱を始めていた。


***

 
「みんな・・・頼むよ!」

 ジョニーが声をかけると、前衛たちは一斉に声をあげて応えてくれた。それを合図にして、モーターワークス、エステル、ダイハードが各々の武器を振るった。


「グルゥウウゥゥ・・・」


 サーラメーヤは再び積極的に接近するモーターワークスに向き直り、うなり声を上げる。その隙に、
ダイハードとエステルは相手の死角にまわりこみ、二手に別れ、左右から攻撃する。ジョニーは後ろに控え、ファントムロールの援護をしながら、クイックシルバー2丁持ちの射撃支援に回っていた。

 サーラメーヤはモーターワークス達を威嚇するために体勢を低くして吼える。そこに、モーターワークスは怯むことも無く正面から斬りかかった。

「っりゃあああああ!!」

 走りこむと同時に抜き打ち、破軍の切っ先を叩きつける。その場に踏みとどまらず、姿勢を極限まで低くして一気にサーラメーヤの視界の外へと滑り込むように逃れる。間をおかず、走りこんできたダイハードが重量感あふれるブージを。驚異的なジャンプ力で高く飛んだエステルが自重を乗せた巴を。縦と横の二箇所から一撃を加えた。

 二人はその場にとどまり、追撃を加えるためにそれぞれの獲物を再び振りかぶった。技量は高い。それでも初撃と二撃目との間には僅かながら間がある。なにより、サーラメーヤほどのモンスターであれば、二人の攻撃を受けながら反撃することも簡単だ。サーラメーヤも本能的にそれがわかっているのだろう。目の前で隙を見せた二人をなぎ払う為に前脚を振り上げる。
 
 だがそこにダイハードとエステルの背後から飛び込んできた何かがサーラメーヤの3つの頭に命中した。 蒼く輝く氷塊と大気を突き破る雷の束、ラッチとバリズの詠唱した精霊魔法だ。

 絶対零度と弾け飛ぶ雷電に一瞬サーラメーヤの動きが遅れる。その隙にモーターワークスとダイハードは体勢を立て直し、エステルは再び跳躍する。それぞれが全力の一撃を再びサーラメーヤに叩き込む。そして同時に再び左右上空へと散った。

「ガォガアアァアア!」

 ヴァレリアは二人がいた空間に割り込み、怯んだサーラメーヤに向かって渾身の力を込めて盾でぶん殴った。コトカのヘイストのおかげで体が羽のように軽い。3人が作ってくれた隙に残りの体力を振り絞るようにして攻撃を加える。

 その間にもジョニーは連続して銃を撃って前衛たちを援護してくれた。しかも距離があるというのに綺麗に銃弾をサーラメーヤの頭に命中させている。そのおかげでバリズとラッチの魔法詠唱の間も連続して支援攻撃が途切れることは無かった。

「はぁっ はぁはぁ  すぅっ はっ!」

 息があがる。

 それでも歯を食いしばり、巴を構えなおして跳躍する。どんなに疲れていても、地面を強く蹴って空へとジャンプするときの感覚はたまらない。空が、自分の味方なのだ。あの吸い込まれるような大空が。エステルは跳躍の到達点まで来ると眼下のサーラメーヤを睨み付ける。

「むぉあぁぁぁぁっ!」

 疲れたときこそ基本に立ち返り、体を使う。
 
 全体重を乗せ、上段からブージを叩きつける。その衝撃を膝で殺し終えると最小限の動きで体重を移動して全体重を空に投げ上げるようにブージを振り上げる。原初的でありながら、もっとも威力のある方法をダイハードは知っていた。あとはもう、本能にも似たそれに従うだけだ。ぶち壊せ。自分に粉砕できないものなど、そう多くはない。

「・・・・せぇあああっ!」

 太刀の威力が全て標的に伝わったところで両足を踏ん張り、そこから伸び上がる勢いを脚から腰、腰から背中、背中から腕に伝え、一気に振り上げる。長大な太刀がまるで体の延長になったような感覚があった。そして裂帛の気合を込めて雪風、月光へと繋げ、最後の花車へ。刀身が花びらをまとって咲き誇った。爛漫に咲き誇る花車の中、モーターワークスは不敵な笑みを浮かべる。

「ゴワアアアアァァァアアア!!」

「「「ぐっ」」」

 サーラメーヤが突然咆哮を上げた。二本の首が耳を劈く雄たけびを上げる中、真ん中の首だけが静かに天を仰ぐ。もっとも近い場所にいた3人はこの咆哮に抵抗できず、一瞬体を硬直させてしまう。

 ゲーツオブハデスの構えだ。しかしもう誰も怯まなかった。ジョニーがメガスズロールのダイスを振り、バリズとラッチが精霊魔法がサーラメーヤに着弾する。咆哮の轟音から立ち直った3人がヴァレリアの背に隠れる時間はそれで充分稼げていた。

 刹那の瞬間の後、ゲーツオブハデスの灼熱の津波がヴァレリアの体力を削り取ってゆく。だが歯を食いしばり、先頭で盾を振りかざすナイトが倒れることはもう無かった。
 炎の波を突き破って、エステルとモーターワークスがゲーツオブハデスから飛び出してサーラメーヤの顔面を叩き割った。爆炎の掻き消えたあとにはしっかりと大地に脚を踏みしめて立っているナイトの姿がある。

「シムじいさん!」

 ヴァレリアはそう叫びながら、指をパキパキと鳴らすガルカにサーラメーヤの眼前の場所を空けた。シムはサーラメーヤの目の前に仁王立ちし、その目をにらみつけるように拳を振り上げる。

 ゲーツオブハデスが効かなかったことにサーラメーヤが気づくまでに若干隙がある。だがその隙は決して長いものではない。左右の首をエステルとモーターワークスが押さえつけているが、真ん中の首は自由なのだ。その眼前において、筋骨隆々たるガルカのご老体は堂々と立っていた。

「ちょ、ちょっと、じいさん!ボケちゃったのぉ?!」

 中央の首は動かない。まっすぐとシムを睨み付けている。しかしシムも動かない。拳を振り上げ、その姿勢のままじっと見据えている。ガンのつけあい、といったところだろうか。不良少年のようなまなざしでサーラメーヤの視線を受け止めていた。

「お前さん、強かったのぉ・・・。強かった・・・本当に・・・。」

「ガァアアアアアアアア!」

 中央の首がシムへと牙を剥いた。大木ほどもある巨大な首がシムを食いちぎらんと襲い掛かる。
牙と牙がシムを噛み千切ろうとしたまさにその直前、力を溜め込んだシムが一撃を放った。

「ぬおおおおおおおおおりゃあああああああああああぁぁぁぁぁっ!」

 シムの拳がサーラメーヤの右頬を殴りつけられる。

 その一瞬、時が止まったかのように感じた。

 鈍い音と共に、それはかち上げられた。そして今までに聞いた事のない悲鳴にも似た咆哮が当たり一面に響き渡る。

「ギャオオオオォォオオオンッ!」

 サーラメーヤの巨体が怯む。すると、荒々しく振られていた尻尾が後ろ脚の間に隠すように仕舞いこまれた。明らかに脅えの感情を表している。これまで、対峙する生物のことごとくを圧倒していたプレッシャーが掻き消えた。

「な、殴った・・・。殴りやがった・・・。」

 モーターワークスは呆気にとられたように言った。相手にしていた首を確認してみれば、もう荒々しい炎の王の姿はなかった。脅えている。それは生物が自分より強いものに対して抱く感情だった。

「私達の力が通じた?!」

 着地したエステルが半信半疑の様子で叫ぶ。

「サーラメーヤに? 脅えさせた?! 」

 誰もが半信半疑だった。わずかでもすがれる希望があるならすがってみたい。そう思っていただけなのだ。苦難など、冒険で売るほど経験しているジョニーたちにそうまで思わせるほど、このサーラメーヤというモンスターは驚異的に強かった。

 だがそのサーラメーヤが、自分達に怯えている。ガルカのご老体の一撃が、生物として最も原初的な一撃で闘争心を打ち砕いたのは明白だった。勝利への実感が彼らの中に駆け巡る。

 静かに呻りながらも、苦し紛れにサーラメーヤが走り出す。逃げようとしている。しかし目の前に迫っていた火山の起伏に激突して轟音を立てながら転倒した。耳は倒れ、尻尾は丸めている。せわしなく周りを見回し、必死に起き上がろうともがいた。

 ヴァレリアを先頭に、一行はサーラメーヤに走る。これ以上走って逃げ回られれば追いすがる体力はもうこちらにも残されていないのだ。

「うりゃぁあ!」

 ダイハードが後ろ脚に斬りかかる。さすがの彼の斬撃にも最初の鋭さは無い。太ももの部分を覆う堅い鱗に弾かれ、体勢を崩していた。

「なら、ここよぉ!」

 瞬時に狙いを変え、ダイハードは比較的柔らかそうな脇腹に向かってブージを叩きつける。重量の乗った一撃は堅い鱗をひしゃげさせる。

 エステルは一気に回り込み、シムにぶん殴られて戦意喪失している中央の頭めがえて槍を突き立てた。自分達の力が通じるという実感に気力を振り起こし、サーラメーヤに挑みかかる。もう最初の方の動きのキレは無く、もはや気力だけで武器を振り上げている様子だった。
 それでも、サーラメーヤを取り囲む全ての冒険者がまるで一つの巨大な生き物になったかのように食らいついていた。

「グルァアアアアア!!」

 ある程度闘争心を回復したサーラメーヤが咆哮をあげる。ゲーツオブハデスの構えを見せるも、反撃を食らうかもしれないという恐怖心すら振り払ってサーラメーヤに食い下がっているヴァレリアの姿をみるや、構えをといて大きく後ろに飛び退った。

 サーラメーヤも体力の最後の一絞り、最後の一滴を搾り出して抵抗する。炎の王、ゼオルム火山の主としての意地だった。それはすでに交戦して長い間戦い続けていたというのに、まるで今はじまったばかりではないかというほど、大きく首を左右に振り、躍動感あふれる動きで暴れまわる。

「こいつの体力は底なしですかっ」

 ラッチはそう言わずにはいられなかった。流石にもう魔力を使い果たしてしまいそうだ。あとどれほどの体力を残しているのかわからない。ただ、自分の魔力の限界は近かった。しかし確実に勝利への感触を掴んでいる。そのせっかくの感触を逃したくは無い。ならば、最後の一絞りまで絞りつくしてやろうではないか。たとえ、この冒険が終わって2,3日起き上がれないくらい疲れてしまうとしても。

「バリズさん、いきましょう。出し惜しみはヤボですよ?」

 ラッチは隣のバリズへと声をかける。

「そうか・・・。仕方ないな。」

 バリズはそう呟いて返す。ラッチは安心した。流石に何度も困難を乗り越えてきた冒険者である。どこで底力を発揮するべきかわかっている。これならば大丈夫だと、ラッチは最前線で暴れ狂うサーラメーヤに挑みかかっている前衛たちに想いを馳せた。

 そうして、二人は体の奥底にある魔力の根源、魔力の泉と、アストラルフロウを解放する扉を開けた。ラッチは極大の氷塊を召喚しながら。バリズは湧き出る魔力の最後の一滴までをそれに注ぎ込んだ。

「みんな、もう一息。もう一息だよ! 押し込んでっ!」

 それは祈りにも似た叫びだった。ジョニーが声も枯れんばかりに叫んでいる。なぜと問う者はいなかった。暴れ狂うサーラメーヤの四肢をかいくぐり、体力の最後の一絞り、最後の一滴までを搾り出して立ち向かう。

「おおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

 その雄たけびが誰のものなのかはわからなかった。

 ナイトの。
 竜騎士の。
 戦士の。
 侍の。
 コルセアの。
 詩人の。
 赤魔導師の。
 黒魔導師の。
 召喚士の。

 複数の冒険者の声が重なり地鳴りのように響き渡る。限界を超えた何人かがその場で前のめりに突っ伏す。それでも誰一人逃げず、正面から、剣であったり、太刀であったり、槍であったり、斧であったりと自分の武器を振るってサーラメーヤに叩き付ける。

 それが冒険者たちに残された最後の猛攻だった。体から力が抜け、膝から地面に崩れ落ちる。だが視線はサーラメーヤをにらみつけたまま動かさなかった。

「ゴオオオオオオオオォォォォォォォアアアアァァァァッッ!!!」

 それは一瞬のことだ。ひと際高らかにサーラメーヤが天に向かって咆哮する。そしてそれと同時に、地響きを立て、地面に倒れ伏した。

 もう、精も根も尽き果て、誰一人としてまともに立っている者はいない。それでも、その巨体を大きくゆるがせ、地面に崩れ落ちるサーラメーヤから視線を逸らさず、まっすぐ睨み続けている。

 いつの間にか、日差しが色づいていた。その夕日を浴び、漆黒の体を紅蓮に彩られながら、火山の
王はついに倒れた。

「倒した・・・?」

 誰かが呟いた。夢を見ているかのように、たどたどしく、誰かに問いかけているかのように曖昧な呟き。しかしその声が徐々に力を帯びる。

「やったのよぉ、私達が。倒しちゃったのよぉお!」

 その声が波紋のように広がっていく。

 サーラメーヤを、今、討伐したのだ。

「ヴァレっこ!テルりん!ひめ!モタさん! みんな、やった! やったんですよ!」

 コトカが冷えた溶岩の大地を飛び跳ねるようにして駆け寄ってきた。後衛だったとはいえ、まだそんな元気があるのかとシムは歓心する。

「やった!やったんだね!」

 ヴァレリアは感極まってエステルに抱きついていた。

「元気な奴らだ・・・。」

 ジュピタースタッフを肩に担ぎ、バリズはそう呟きながら長い前髪をかき上げた。そこには呆れたような、それでいてどうにも清々しい笑顔が浮かんでいた。

「同感だな、まったく・・・。ふふっ」

 モーターワークスは破軍を鞘に戻す元気もなく、その場に座り込む。

「そうだ、ジョニーさん。」

 エステルと抱き合って喜んでいたヴァレリアが、シムの腕によりかかっていたジョニーのもとにやってくる。

 「さっき、地面に突っ伏す前に気がついたんだけど。サーラメーヤが倒れこんだあたり、何かがはじけ飛ばなかったかい? 真ん中の首の付け根のところ。」

 「ん? あぁ、そういえばそうかもしれないね。どうだろう?」

 あの時はサーラメーヤにクイックシルバーを弾くことしか考えられず、よく覚えていない。

 「やれやれ・・・。 これは、ヴァレリアはもう冒険者になったのかな・・・。」

 ジョニーは普段の自分からは考えられないような緩慢な動きで立ち上がり、そしてヴァレリアが指差したあたりに近づく。それは、火山の王。サーラメーヤからの思わぬ贈り物だった。


***

■エピローグに続きます?







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